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月額契約のライセンスを活用し通信端末との組み合わせ提案を実現 【サプライヤーも得するクラウドの売り方 Renewal vol.8】

前回も紹介したように、人材確保は企業にとって大きな経営課題となっている。それを解決するのがクラウドだ。今回はOffice 365などユーザーにとって身近なクラウドサービスを提供している日本マイクロソフトの話を伺い、同社が提供しているライセンスをもとにビジネスチャンスを解説する。

[2016.04.23]

1.多様な働き方で経営課題を解消


 企業の経営課題の一つに、優秀な人材確保が挙げられている。3月10日に東京商工会議所が発表した「中小企業の経営課題に関するアンケート結果」では、売上拡大に取り組む上での課題として「人材の不足」を挙げた企業が全体の71.6%と最も高かった。このような人材に対する企業の課題を解決するためには、働き方改革を行うことが重要になる。


 日本マイクロソフト 業務執行役員 本部長 アプリケーション&サービスマーケティング本部の越川慎司氏は「人材の確保が重要になる半面、高齢の親を持つ団塊ジュニア世代は介護のため休職するケースが出てくるなど、従来の働き方では労働力を確保することが難しくなっています。今後企業は、多様な働き方を従業員に推奨していく必要があります」と語る。3~4年前は妊娠や出産で職場を離れてしまう女性を支援することが働き方改革として挙げられていたが、今や働き方改革は企業の従業員全体が対象となっているのだ。


 日本マイクロソフトでは“モダンワークスタイル”という働き方を提案している。「具体的には、従業員に自由と報告の義務を持たせて場所にとらわれずに業務を進めてもらうことで成果を上げる働き方のことを指します」と越川氏。


 同社では、一週間オフィスから離れて働くテレワークウィークを、賛同法人651団体とともに昨年実施した。実際に多くの企業がコストや時間の削減、生産性の向上などを実感したというテレワークだが、その核となったのが日本マイクロソフトが提供するクラウドサービス「Office 365」だ。


2.クラウドとハードウェアで働き方を改革


 「当社はご存じのようにWordやExcelといったOfficeソフトウェアを提供するパッケージベンダーです。しかしCEOがサティア・ナデラになってから、当社のビジネスは大きく変わりました。特にOffice 365のようなクラウドを使ったソリューションを、ユーザーに提供する形にビジネスモデルが変化したのです」と越川氏は語る。現在でも同社はパッケージソフトのOfficeソフトと、クラウドサービスであるOffice 365の両方を販売しており、一時的な売上げはパッケージソフトの方が高い。しかしExcelやWord、PowerPointなどのパッケージソフトは「ユーザーにとって文房具以上の存在にならず、働き方の改革のような次のステップに進めない」と越川氏。


 Office 365はすでに過半数の法人企業が、いずれかの部門で導入しており、Skype for Businessによる遠隔会議や、WordやExcel、PowerPointのデータを部門内で共有するなどクラウドの利益を享受して業務効率を向上し、働き方の改革を行っているという。


 「クラウドはいわば水道管のような存在です。働き方を変えるために必要な要素ではありますが、それだけでは働き方の改革は実現できません。クラウドを使うためにはミドルウェアやハードウェアの存在は不可欠です」(越川氏)
日本マイクロソフトでは、このようなクラウドとハードウェアを販売店がセット提案しやすい「クラウド ソリューション プロバイダー」(CSP)プログラムを提供しており、販売店のクラウドビジネスを支援している。


3.人員の増減に柔軟に対応する月額契約


 CSPプログラムとは、マイクロソフトのパートナー制度の一つだ。再販、サブスクリプションの提供、請求、サポートを通して、販売パートナーがクラウドを統合サービスとして提供することを可能にしている。越川氏は「年額契約を行うボリュームライセンスと異なり、CSPは月額契約です。また、ユーザーが求める機能に応じた切り出し提案が可能な点も大きなメリットとなるでしょう」と語る。


 例えばユーザーがOffice 365の製品群の内、Skype for Businesのみを導入して遠隔会議を実現したいと要望した場合、Skype for Businesのみを切り出して販売提案が行える。


 また、中小企業では人材確保が大きな課題となっているが、その際にネックになるのがソフトウェアなどのライセンスの問題だ。パッケージソフトの場合、新たに購入してインストールし設定を行うなどの手間がかかる。しかしクラウドであればライセンス数を増やせばインストール可能だ。月額契約であれば従業員が退職した場合でも使用しないライセンスをすぐに解約できるため、余計なコストもかからない。


 CSPの強みは上記以外にもある。組み合わせ提案がしやすいのだ。「法人は基本的に従業員にノートPCにプラスしてスマートフォンかWi-Fiルーターを貸与しています。これらの通信機器は基本的に月額で契約を行います。CSPも月額契約であるため、通信機器と合せて契約して貰うようなセット提案が可能になります」と越川氏は語る。契約の仕方は販売店の提案方法に合わせて柔軟に変更できるため、クラウドビジネスへのハードルを感じている販売店にとっても利用しやすい。


4.キャズムに近づきつつあるクラウド


 人材確保を目的とする中小企業にとって、クラウド利用は大きなメリットだ。実際に日本マイクロソフトがOffice 365などのクラウドを販売しているデータを分析すると、中小企業はオンプレミスとクラウドをミックスして使うハイブリッドクラウド環境を導入している割合が伸びてきているという。クラウドであれば大企業と同一のインフラを何億円という投資をせずに使えるというのも、中小企業のユーザーがメリットに感じているポイントだ。


 「クラウドの利用メリットをユーザーが理解するのは時間の問題だと考えています。新技術は普及率16%を超えると一気に市場に拡大していくというキャズム理論が知られていますが、すでにクラウドもこのキャズムに近づいています」と越川氏。同氏は続けて「当社ではクラウドという水道管を作っているに過ぎません。ここに販売店の皆様に蛇口を作ってほしいですね」と訴える。


 蛇口とはクラウドと組み合わせたソリューションだ。例えば同社のCSPの柔軟性を活かし、キャリアの回線を契約したSIMカードを搭載したノートPCとOffice 365を組み合わせて提案することで、Wi-Fiスポットを探さなくてもクラウドを活用して共同作業を行えるようなソリューション提案などが有効になるだろう。


 「販売パートナーに対しては『クラウドスタートアッププログラム』なども提供しています。ともにビジネスアイデアを考えていくなど、クラウドビジネスの推進に寄与していきたいですね」と越川氏はクラウドビジネスに対する意気込みを語った。

本日の講師

 

日本マイクロソフト
業務執行役員 本部長
アプリケーション&サービスマーケティング本部
越川慎司 氏

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