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WiGigを利用した実証実験 【ケーブルレスワールド ワイヤレス化の加速が買い替え需要を刺激する】

機器と機器を結ぶケーブルが仕事の自由度を奪っている。ケーブル接続から開放されれば、もっと快適に仕事ができるはずだ。そんな世界を実現する製品の提案で、買い替え需要を喚起しよう。

[2016.04.08]

WiGigを活用したアクセスポイントを実証


 今年2月に、パナソニックがWiGigを利用したアクセスポイント(AP)の実証実験を成田国際空港(以下、成田空港)とともに行った。目的は無線LANを活用した情報提供の高速化を実現するWiGigスポットの効果を実証すること。


 既存のWi-Fi環境は2.4GHz、5GHz帯を活用するが、対応機器の普及でユーザーが集中する場所では通信状況が悪化し、速度低下が生じるケースが少なくない。成田空港では利用者が多い朝夕の時間帯で、提供するWi-Fiサービスの速度低下が発生していたようだ。そのため、2.4GHz、5GHz帯とは異なる60GHz帯を利用するWiGigの活用に期待しているのだ。「これからはミリ波(60GHz帯)を利用するのは必須になるでしょう」とパナソニック オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社 技術本部 プラットフォーム技術開発センター 無線技術開発部 主幹 滝波浩二氏は話す。


 実証実験では、ネットワークスイッチ経由でコンテンツサーバーと接続されたWiGig APを3台設置してWiGigスポットを構築。利用者にはWiGig APからコンテンツサーバーに保存された大容量コンテンツを4Kタブレットでダウンロードしてもらった。バックボーンの回線は10Gbps。4KタブレットにはWiGig対応のUSBドングルを使用した。


 WiGigの規格上の最大通信速度は7Gbpsだが、もちろん実測ではそれよりも遅くなる。ただし今回の実証実験で用いられたWiGig APは、電波を特定の方向に集中的に照射するビームフォーミング技術を搭載した無線モジュールを三つ組み合わせて360度をカバー。60GHz帯の電波の特性である通信エリアの狭さという課題を克服し、複数ユーザーの同時アクセスでも通信速度の低下を抑えた。実証実験における実測値では1〜2Gbpsという速度を記録している。


 成田空港では2月18日〜26日の実証期間内で1,000人ほどのユーザーが利用した。滝波氏は、「コンテンツのダウンロードの速度に驚かれていました」とユーザーの反応を喜ぶ。高速無線通信を実現するWiGig APを空港に設置することで、搭乗の待ち時間にタブレットなどの端末に映画をダウンロードして機内で鑑賞できるようにしたり、観光ガイドや地図を快適にダウンロードしてもらえるような環境を提供できる。


 WiGig APは、多くの人が集まる公共空間や商業施設、オフィスビルをはじめ、さまざまな場所での活用が期待される。ただし、実際に利用されるためには、WiGigに対応したPCやスマートフォンの普及が欠かせない。


 「WiGigに対応したPCなどは2〜3年程度で普及すると考えています。そのタイミングでWiGig APの実用化を目指しています」と滝波氏は展望を語る。

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