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モバイルワークを推進する上でクラウドサービスは主軸となる 【サプライヤーも得するクラウドの売り方 Renewal vol.7】

前回までの連載で、クラウドが決して販売店のビジネスを脅かす存在ではないことが分かっていただけたかと思う。今回は、モバイルワークとクラウドという視点から、販売店のビジネスチャンスを解説する。

[2016.03.25]

本日の講師

クラウドサービス推進機構 理事 兼
スマイルワークス 代表取締役社長
坂本恒之 氏

 

1.生産年齢人口減少の解決策としてのクラウド


 少子高齢化が進む中で、生産年齢人口の減少が問題視されている。生産年齢人口が減ってしまうと、それだけ働く人材が減ると言うことであり、企業競争力の低下につながる。今後企業が生産性を維持するためには、限られた人員で付加価値のある業務を進めていく必要がある。


 しかし、会計処理などの間接業務は、生産性の向上にはつながらないものの、企業経営を行う上で必要な業務の一つだ。クラウドサービス推進機構 理事を務め、自身もベンダーとしてクラウドサービス「ClearWorks」の提供に携わるスマイルワークス 代表取締役社長の坂本恒之氏は「将来的に、間接業務などの業務系ソフトウェアはすべてクラウドに移行するでしょう」と指摘する。


 「例えばパッケージソフトウェアを導入して会計・給与計算を行っている場合、法令改定などがあるとバージョンアップしたり、新しい製品にリプレースする必要が出てきますが、クラウドであればその心配はありません。また、クラウドであれば複数の拠点を持つ企業でも、インターネット環境さえあれば使えるため、同一の環境で業務が行えます。従業員に適切な権限を付与しておけば、間接業務の合理化も実現できます」(坂本氏)


 このような場所を問わず利用できるクラウドは、生産年齢人口の減少に対しても有効な対応策となる。具体的には、ライフステージに応じた業務を、クラウドを活用することで実現できるようになるのだ。


2.クラウド利用で地域の女性労働力を活性化


 ライフステージに応じた業務とはどういうことか。最も分かりやすい例が、女性の労働環境だ。「女性は結婚や出産、育児といったライフステージに応じて、働ける環境が変化していきます。このような変化が生じた際に、職を変えるのではなく、同じ職場で働き方を変えることで対応できます」と坂本氏。


 実際にスマイルワークスは、総務省の「ふるさとテレワーク推進のための地域実証事業」の提案公募によって採択された「横須賀・松本商工会議所地域連携モデル」に参加しており、女性に新たな働き方を提案している。具体的には、地域の女性コミュニティと連携することで、子育て期の女性や要介護家庭の主婦などに対して、フレキシブルワークの可能性を提案し、実際にテレワークで働いてもらっているのだという。


 夫の転勤や出産、介護などをきっかけに仕事を辞めてしまった女性を対象に、同社のClearWorksとクラウドワークスが提供するクラウドソーシング「クラウドワークス」を活用してもらっている。それにより横須賀にいながら都心の企業から会計業務を請け負っているという。このように、クラウドを活用すれば場所にとらわれず働けるようになる。企業がクラウドを導入することは、貴重な労働力の流出を防止することにもつながるのだ。


 生産年齢人口が減少する中、このようなクラウドを活用したテレワークで女性の雇用を促進することが、企業成長に結びつく。


3.クラウド提案の上ではハードウェアも重要


 それでは、クラウドを活用したテレワークやモバイルワークに必要な要件とはどのようなものになるだろうか。


 「まず必要なのはWi-Fi環境などのインフラです。Wi-Fi環境が整ってきた現代だからこそ、モバイルワークが成功する可能性が高いと言えます。また、デバイスが進化している点もモバイルワーク成功に一役買っています。スマートフォンやタブレットなど、ハイスペックでありながら持ち運びのしやすいデバイスが登場してきたことで、場所を選ばずに仕事ができるようになりました。クラウドはインターネット環境さえあれば業務に必要な環境にアクセスできるため、まず必要となるのがこれらの無線LAN環境とデバイスでしょう」と坂本氏は話す。


 また、クラウドに直接接続するデバイスも、クラウドサービスによっては必要となる。例えばスマイルワークスではブラザー販売のスキャナーに専用の基板を組み込み、電源を入れるだけで同社のクラウドと接続できる製品を提供している。


 「通常、PCなどを介してスキャンデータをクラウドにアップロードしますが、スキャンしてすぐにクラウドにアップロードするため手間が省けます」と坂本氏。販売店が提案を行う場合、クラウドサービスだけでなく、このようなデバイス分の収益を獲得できる。モバイルワークという視点で提案を進めることで、クラウドサービスとハードウェアの組み合わせ提案が可能になるり、利益をより多く獲得できるのだ。


4.まずは業務系クラウドを提案しよう


 クラウドサービスにまつわる販売店のビジネスは、実は幅広い。前述したようなデバイスとの組み合わせ提案や、既存のオンプレミス環境からの移行、導入サポートなどがあるためだ。


 「販売店の方々に知っておいていただきたいのは、クラウドサービスベンダーでは地場のエンドユーザーに対するサポートまで手が回らない、ということです。ベンダー側はあくまで商材を提供しているだけです。むしろエンドユーザーを熟知している販売店に積極的に提案してもらい、利益を獲得して欲しいと考えています」(坂本氏)


 また、クラウドの提案を行う際、最初に業務系クラウドサービスを提案するとよいという。「会計支援などの業務系クラウドは、いわばオンプレミスの基幹システムに位置する製品です。オンプレミスの場合基幹システムを提供しているベンダーが、その後のソリューション提案を行う上での主軸となっていると思いますが、それはクラウドでも同様です。基幹システムをクラウド化しておくことで、モバイル端末導入時の相談を、販売店側が受けやすくなるのです」と坂本氏。


 坂本氏は続けて「従来のオンプレミスは特定のメーカーの販売代理を行うことが多かったと思いますが、クラウド時代ではエンドユーザーの購買代理という視点で提案を行うとよいでしょう。どんな製品を購入するべきなのかエンドユーザー視点から判断して組み合わせ提案を行うことが、商談成功の近道になります」と販売店にアドバイスを送った。

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