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ケーブル接続からの脱却 【ケーブルレスワールド ワイヤレス化の加速が買い替え需要を刺激する】

機器と機器を結ぶケーブルが仕事の自由度を奪っている。ケーブル接続から開放されれば、もっと快適に仕事ができるはずだ。そんな世界を実現する製品の提案で、買い替え需要を喚起しよう。

[2016.04.08]

Cableless Desk


ケーブル接続からの脱却


 ケーブルに縛られる働き方からの脱却が業務の効率や生産性の向上を実現する。このような考え方から、現在さまざまな企業がネットワークや機器接続におけるケーブルレス化に取り組んでいる。IT業界を牽引するインテルなども率先してオフィスの無線化によるケーブルレス化に着手し、成果をあげてきた。ケーブル接続が必要となる状況とそうでない状況では、従業員の機動性に明らかに影響が出てくるからだ。


 現時点でも有線LANから無線LANへの移行はかなり進行していると考えていいだろう。そのため、社内の無線LAN化におけるビジネスチャンスは数多くあるが、加えてこれからは機器間の無線接続によるケーブルレス化にも商機が多く訪れそうだ。機器間の無線接続が可能になると、例えば次のような状況が実現する。


 「外出先にはタブレットを持ち出してWeb閲覧やメールの確認を軽快にこなし、ときにはプレゼンも行う。そしてオフィスに戻ったらそのタブレットをデスクに置く。するとタブレットの画面がデスク上のモニターに自動的に表示される。その後の作業は大きなモニターとキーボードやマウスを利用して継続する」


60GHz帯で最大7Gbpsを実現するWiGig


 これはタブレットとモニターをケーブルレスで接続できる無線ドッキングステーションを利用した状況だ。業務をタブレットに集約し、タブレットの機動性や業務の効率性を最大限に高めようとする試みだ。従来からもモバイルPCとモニターをケーブルで接続するドッキングステーションは提供されていたが、現在ではそれがケーブルレスで行えるようになっている。


 その実現に寄与しているのはIEEE 802.11ad、通称「WiGig」と呼ばれる無線LAN規格だ。60GHz帯を利用し、最大7Gbps程の高速通信を可能にする。2.4GHzや5GHz帯を用いる既存の無線LAN規格と比較して通信距離が約10mと短いのも特長だ。直進性が強く遮蔽物に弱い側面を持っているが、その高速性と通信距離の短さを逆手にとってデスク周りの機器間接続をケーブルレス化する製品が登場してきているのだ。今後は、2.4GHzや5GHz帯と60GHz帯を状況に応じて使い分けるトライバンドの時代が来ると目されている。


 ただし、WiGigを利用した無線ドッキングステーションなどの機器を使用するには、タブレットやモバイルPCなどもWiGigに対応している必要がある。現状ではWiGigに対応したPC製品はまだまだ少ない。逆に言えば、WiGigへの対応は、他の製品との大きな差異化ポイントとして訴求できることになる。


対応タブレットとセットで提案


 日本HPは昨年の春からWiGigに対応した無線ドッキングステーション「HPアドバンスド無線ドッキングステーション」と2in1タブレット製品を提供している。WiGigに対応した最新2in1タブレットは「HP Elite x2 1012 G1」だ。HPアドバンスド無線ドッキングステーションにはディスプレイポート×2、VGAポート×1、USB 3.0ポート×4などが搭載されていて、モニターやマウス、キーボードを接続できるようになっている。HPアドバンスド無線ドッキングステーション経由で、ケーブルレスでHP Elite x2 1012 G1の画面をモニターに表示でき、マウスやキーボードの操作を可能にする。


 日本HP パーソナルシステムズ事業本部 クライアントソリューション本部 本部長の村上信武氏は無線ドッキングステーションの利点について、「ケーブル接続のひと手間を省ける製品です。デスク業務における生産性を高めます」と表現する。このひと手間の省略が快適なオフィス環境につながっていくのだ。


 ドッキングステーションの需要は国内ではまだまだ少ないと村上氏は話す。そのため、ケーブルレスで快適に接続できる製品が登場したことをアピールできれば、潜在的な需要を掘り起こすことも可能だろう。快適な業務環境を実現するセットとして、WiGig対応の無線ドッキングステーションとタブレットを提案できれば、未開拓の市場で大きなビジネスチャンスを獲得できる可能性がある。もちろん、ケーブル接続のドッキングステーションを利用してきたユーザーに対しては買い換えを促せる。


 オフィス以外でもHPアドバンスド無線ドッキングステーションは、意外なところで人気を博しているという。それが文教市場だ。教室内で授業を行う教職員用のWiGig対応タブレットと電子黒板やインクジェットプリンターを結ぶハブとして利用されているのだ。「教職員の方々のタブレットから電子黒板への投映などで手軽に利用できると好評です。ケーブルレスで接続できるため、タブレットを持って教室内を動きながら操作できる点が支持されています」(村上氏)


スマートフォンをPCのように使う


 モバイル端末の画面をケーブルレスでモニターに表示させて、操作はマウスやキーボードで行えるようにする仕組みとして、これから注目を集めそうなのが、Windows 10 Mobileで利用できるContinuumだ。これはWindows 10 Mobileを搭載しているスマートフォンの画面をモニターに最適化して表示させられる機能だ。画面表示が通常のPCと同じようになるため、PCの使い勝手を実現する。もちろんキーボードやマウスも利用できる。例えば、Windows 10 MobileにインストールされているOfficeソフトをモニターに表示させることで、PCと同様のOffice作業が可能になる。


 モニターに表示させた画面の操作はスマートフォン側でも可能だ。そのため、会議時のプレゼンテーションなどにおける資料の遠隔操作にも活用できる。スマートフォンに保存されたPowerPointのプレゼン資料などをContinuumでモニター画面に表示させて、その操作をスマートフォンから実行するような使い方だ。


 Continuumを使用するには対応したスマートフォンが必要だ。すでに発売されているトリニティのSIMフリースマートフォン「NuAns NEO」や、4月に発売予定のVAIOのSIMフリースマートフォン「VAIO Phone Biz」などがContinuumに対応する。合わせて、スマートフォンからのデータをモニター側で受信するためのアダプターも必要だ。現状ではActiontec Electronicsのワイヤレスディスプレイドックアダプター「ScreenBeam Mini2 Continuum(スクリーンビームミニ2 コンティニュアム)」などが存在する。キーボードやマウスは、アダプターに接続したりスマートフォンにBluetooth経由で接続する。


 Continuum対応スマートフォンとアダプターを持ち歩けば、外出先などのモニターやキーボードを利用した作業も実現する。スマートフォンをPCのように利用可能にしたりリモコンにも変化させたりするContinuumは、スマートフォンの使い方や業務環境そのものを劇的に変化させる機能になるかもしれない。

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