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エレコム株式会社 取締役社長 葉田順治 氏 【Top Interview 】

2015年度末を目前に控えた3月4日、インタビューの冒頭でエレコム株式会社の葉田順治社長は、「2016年3月期も最高益を記録する見込みだ」と早々と勝利宣言した。2016年3月期を最高益で締めくくると、同社は3年連続の記録更新となる。破竹の勢いで成長を続けるエレコムの原動力と、さらなる成長に向けた施策について葉田氏に話を伺った。

[2016.04.08]

エレコム株式会社 取締役社長 葉田順治 氏

 

エンベデッド関連事業を本格化 産業のITインフラの担い手を目指す

困っているところに需要がある


 ─2016年3月期は3期連続の最高益となりそうです。


葉田氏(以下、敬称略)■マウスやキーボードなどの入出力機器や、PCやスマホ向けのアクセサリー製品、NASなどの周辺機器、ネットワーク製品など、長年継続している事業がそれぞれ好調です。


 2016年3月期も3期連続の最高益となる見込みですが、これは結果でしかありません。これまで数え切れないくらいの失敗をして、そこから学んだことを次に活かして真摯に取り組み続けているという、いわば普通のことをしているだけです。その結果が、売り上げや利益に表れると考えています。


 ─エレコムの強みは何でしょうか。


葉田■当社には、商品開発力、商品調達力、商品販売力という3つの強みがあります、これらを支えているのがサポート力です。


 IT製品は、お客様が困っていることを解決できる半面、IT製品の使い方でお客様が困ることもあります。当社は、事業や業務で困っているお客様から、IT製品の使い方で困っているお客様まで、徹底的にサポートし続けてきました。


 困っているお客様をサポートして問題を解決すれば、お客様はまた次も当社にご相談をしていただけます。困っているお客様のご相談に乗らせていただくという、ごく普通のことをやり続けた結果、当社のサポート力が鍛えられ、お客様の声が集まり、よりよい製品の開発や新しい事業の展開などにつながっています。


M&Aで得た技術力で事業開拓


 ─M&Aを通じてグループを拡大しています。


葉田■国内のエレコムグループには、ロジテック株式会社、ハギワラソリューションズ株式会社、日本データシステム株式会社(JDS)が加わりました。これらの企業における、従来の当社にはなかった技術力によって、新しい事業分野を開拓できました。それは、産業向け組み込みシステム、すなわちエンベデッド関連事業です。


 具体的には、生産設備などが稼働する工場向けのカスタムPCや産業機器向けマザーボード、マザーボード組み込み用のSSDなどのハードウェアです。


 この分野には、1兆円、2兆円という規模の大きな市場があると言われています。当社はまだ取り組みを始めたばかりですが、すでに70億円ほどの売り上げが見込めています。


 ─エンベデッド関連で困っている企業がたくさんいます。


葉田■実はエンベデッド関連市場には、ライバルがいないのです。というのも、従来は大手が市場を席巻していたのですが、現在は大規模な工場に重点を置いており、数百台、数千台規模の大きなロットのみの対応で、しかもハードウェアの自社開発・生産からも撤退しています。


 国内には中小規模の工場が無数にあり、カスタムPCや産業機器向けマザーボードのサポートで困っている企業がたくさんいます。当社は、産業のITインフラの担い手として、エンベデッド関連で困っている企業を徹底的にサポートしていきます。


 ─中小規模のエンベデッド関連市場にライバルはいない。


葉田■ロジテックのグループ会社であるロジテックINAソリューションズ株式会社と、ハギワラソリューションズ、JDSによって、ASIC(特定用途向け集積回路)からファームウェアの開発、部品の組み立てまで、そしてソフトウェアを含めてソリューションを一気通貫で開発・製造できます。


 自社開発・製造なので、システムの分析も確実かつスピーディにできます。これが当社のエンベデッド関連事業の強みであり、ライバルがハードウェアの自社開発・製造や、中小規模の工場の対応から撤退している現在、もはや当社が狙う市場に敵はいないのです。


連結売上高2千億円を目指す


 ─デジタルサイネージにも注力しています。


葉田■エンベデッド関連以外も、業務用途に特化したデジタルサイネージ事業にも注力していきます。バッテリーレスの据え置き型Android搭載タブレットを、デジタルサイネージやキオスク端末、POS端末、受付端末などに向けて拡販していきます。


 10・1インチと7インチモデルをすでに販売しており、15・6インチ、21・5インチ、23・6インチなど、今年6月までにラインアップを充実させます。
コンシューマー向けのモバイルタブレットを業務用途に流用するのではなく、据え置き型で業務用途に特化したハードウェア設計であることが特長です。


 タブレットのニーズは、あらゆる業務の現場に潜在しています。当社の製品で、これまでタブレットを使っていなかった業務や用途に活用を提案して、需要を開拓していきます。


 ─DISとエンベデッド関連で100億円を目指しています。


葉田■現在、エンベデッド関連事業で70億円ほどの売り上げが見込めていますが、ダイワボウ情報システム(DIS)様と連携して、来期は100億円の売り上げを目指します。
DIS様は、エンベデッド関連で困っている中小規模の工場を持つ地方の企業にも、全国くまなく販路を築いています。DIS様と一緒に、エンベデッド関連事業を大きく成長させていきたいですね。


 ─まずは連結売上高1千億円が目標ですね。


葉田■現在、約1万7千アイテムを3〜4年で入れ替えていますが、事業領域の拡大と商品ラインアップのさらなる充実、そして商品展開のスピードアップに向けて、基幹業務システムを今年2月に刷新しました。新しい基幹業務システムには、当社の20年にわたる業務のノウハウが活かされており、従来数時間かかっていた処理が5分〜10分で完了できる業務の効率化も実現しています。


 また、相模原の物流拠点には、最新のマテリアル・ハンドリング機器を導入するなどの増強を続けてきました。これらの事業基盤も活かして、まずは1千億円を、その次は2千億円の売り上げを目指します。

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