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クラウドで教育現場のセキュリティを強化 校務システム『edねっとかなざわクラウドサービス』 ~石川県金沢市~

金沢市では、2015年1月からプライベートクラウド「edねっとかなざわクラウドサービス」を校務システム用に導入し運用を行っている。教育現場でのクラウドサービス活用のメリットを探った。

[2016.05.26]

プライベートクラウドで学校ICT環境を最適化


 金沢市教育委員会では、教員の校務の効率化と情報セキュリティ強化のため、金沢市役所庁内のサーバー室にセンターサーバーを設置し、各学校の校務用データを統合管理することで、運用効率の向上と情報セキュリティの強化、コストの削減を行ってきた。センターサーバーでは各学校の教職員が利用するファイルサーバーや、グループウェア機能の提供を行っており、教育委員会側で統合管理を運用、教員の校務の効率化を図っていた。


 しかしセンターサーバー導入から時間が経過し、取り巻く環境にも変化が生じていた。その環境変化について、金沢市教育委員会 学校指導課 主査の池田昌志氏は次のように説明する。


 「情報セキュリティへの対応と同時に、更なる運用効率の向上やコスト削減が課題となっており、新しい環境や運用方法を検討する必要がありました。毎月配信されるOSへのパッチ適用、学校で利用されるソフトウェア・IT 機器などの定期チェック、新しいシステム導入にあたってもサーバー室の電源や設置スペースに限界がきており、このような状況に対応する必要がありました」


 そこで金沢市教育委員会は、既存のセンターサーバー環境をプライベートクラウド環境に移行する方法を選択した。プライベートクラウドを選択したのは、従来市役所内で校務データを管理していたセキュリティ水準を維持するためだ。金沢市ではセンターサーバーで各学校の校務用データを管理するため、クラウドサービス利用以前から学校と市役所間を専用回線で接続しており、その環境を「ed ねっとかなざわ」と呼称していた。今回のプライベートクラウドはその呼称から、「ed ねっとかなざわクラウドサービス」と名付けられ、2015 年1 月から運用をスタートさせている。


 クラウドサービス利用について池田氏は「もともとed ねっとかなざわで専用回線を構築していたため、センターサーバーからクラウドサービスへの移行に伴い必要になったのは、クラウドサービスを提供する三谷産業のデータセンターと市役所庁内のサーバー室をつなぐ専用回線のみでした」と話す。既存環境からクラウドサービスへ移行する際、数回ネットワークの停止を行ったが、作業は基本的に夜間に行われたため、教員の校務に大きな影響は出なかったという。


クラウドでセキュリティや運用効率・拡張性を強化


 導入後の変化について池田氏は「校務システムを利用する教員は、クラウド利用による変化をあまり感じていません。従来使用していたグループウェアは、すでにサポートが終了していたためクラウド化を機に『K-12』という新しいグループウェアを利用しています。操作性は以前のグループウェアに近い製品を選定したため、大きな混乱は見られませんでした。グループウェアは基本的にメールや、資料共有のためのライブラリ機能など情報共有のために使用しています」と話す。


 校務システムを利用する教員側は大きな変化がなく円滑に利用できていることに加え、クラウド化によって管理者側は大きなメリットを得られたようだ。


 具体的には、クラウドサービスの導入によってセキュリティが大幅に向上した点だ。従来から導入していたデバイス制御やUSBメモリーの暗号化に加え、操作ログ管理やメールに対する添付ファイルの暗号化などの機能が、クラウドサービスの導入によって強化された。また、サービス提供者による定期レポートサービスやヘルプデスクサービスなどのサポートが受けられるため、高度な運用スキルを必要としないのもポイントだ。


 「全国の自治体の中でも、学校現場に対してここまでの管理を実施している自治体は少ないですが、教員の授業や、教育委員会での教育政策の質の向上や、情報セキュリティの確保を考え導入を決めました」と池田氏は語る。


 実際、前述のようなセキュリティ対策は、学校単位で実施している自治体が多く、学校によって整備状況に偏りがあるのが現状だ。しかし、実際に生徒の名簿を保存したUSB メモリーを紛失した事例などがあることを考えると、このようなセキュリティ対策は、むしろ学校現場に対して不可欠なサービスといえる。USB メモリーの暗号化だけでなく、ログ管理によってセキュリティ事故の未然防止につなげられるのも、管理者にとってのメリットだ。


教育現場の今後のIT活用に向けた基盤を整備


 クラウド化を行ったことで、今後のIT 環境の整備も行いやすくなったという。池田氏は「従来は整備するにあたり、どのような機器構成にするか、納入スケジュールをどれくらい確保するか、搬入・切り替え時にどの関係部署に連絡する必要があるかなどを検討する必要がありました。しかしクラウドサービスであれば、ハードウェアの機器構成やサーバー室の設置や時間、人を含めたメンテナンスルールを検討する必要が少なくなるため、その分の時間や手間を、導入するサービスの選定時間に利用できます。今回導入したクラウドサービスを拡張していくことで、今後校務の効率化につながるサービスを容易に導入できるようになるのです」と説明する。


 現在、具体的に導入するサービスなどは決まっていないが、成績管理や出欠管理など、教員の校務負担を軽減できるサービスを調査し、本当に必要なサービスの導入を検討していく予定だ。また、金沢市では現在、一部の学校をICT教育のモデル校に指定して、1校あたり30台のタブレット端末を導入して実証実験を行っている。実証実験によってわかった学習効果をもとに、今後市内の学校現場に対してタブレット端末の導入も進めていきたい考えだ。

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