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課外授業にスマートグラス「BT-200」(セイコーエプソン)を活用 ~長野県諏訪市立高島小学校~

ウェアラブルデバイスは、タブレットなどと異なり使用者の身体に直接装着して使用する。この特性を活かせば、学校現場の課外授業を効果的に進めることが可能になる。本稿では実際に課外授業で使用されたスマートグラス「BT-200」について紹介し、今後の教育市場におけるウェアラブルデバイスの可能性を探りたい。

[2016.04.05]

理科の課外授業にスマートグラスを採用


 児童生徒の学習意欲を高めるために活用されるIT機器として、知名度が高いのはタブレットや電子黒板だ。しかし、長野県諏訪市立高島小学校では、少々変わったIT機器を課外授業に取り入れた。その機器とは、ウェアラブルデバイスだ。最近は腕時計型や眼鏡型、指輪型など多種多様なウェアラブルデバイスが展開されている。その中で同校が授業に採用したのは、セイコーエプソンが提供しているスマートグラス「BT-200」だ。シースルータイプの本製品は、眼鏡のようにかけて使用することで、目の前の風景とスマートグラスに表示される映像を同時に楽しめる。具体的には、投写映像をプリズムで反射させ、前面のハーフミラー層に映像を映し出すことで、実際の風景と映像を重ね合わせて見られるのだ。また、OSにAndroid 4.0を搭載しており、スマートフォンと同様の操作性で利用したり、専用のアプリケーションをダウンロードしたりできる。今回の高島小学校では、このBT-200用に開発された「癒し星」というアプリケーションを利用して課外授業が実施された。今回の事例に携わったセイコーエプソンのビジュアルプロダクツ事業部 HMD事業推進部 部長の津田敦也氏は、高島小学校の課外授業について次のように語る。


 「今回のBT-200の活用は、高島小学校の5年生36名を対象に実施されました。理科学習の一環として星空観察会という課外授業を行うにあたり、当社のBT-200を21台貸し出しました。また、同時に若手のエンジニア4名を派遣して(※)円滑な授業の実現をサポートしました。本製品は、現実の風景に重ね合わせるようにして映像を仮想空間のように見ることが可能です。そのため、今回の課外授業では、実際の夜空とBT-200に表示される星座の解説を重ね合わせて、季節の星座に対する理解をより深めることを狙い、実施されました」


※本製品の使用対象年齢は中学生以上のため、技術者立ち会いのもと十分な安全性を確保した上で、時間制限を設けて実施された。


現実と仮想を重ね合わせ実物と教科書の乖離を埋める


 課外授業の当日は天候不順により、実際の星空とアプリケーション上の仮想の星座を重ね合わせることができなかったため、児童は室内でBT-200をかけて星座の学習を行った。授業では児童の誕生月ごとにグループ分けを行い、自分の誕生月の星座を探すという活動を行った。


 実際に課外授業に立ち会った同社の広報IR部 三原 侑氏は「児童は非常に楽しんでいました。BT-200にはGPS機能やジャイロセンサー、加速度センサーなどが搭載されており、BT-200をかけた人物がいる位置や、顔の傾きや動きを検知して、それらの情報を反映させた映像をシースルー上に表示します。そのような、自分の顔などの動きに伴って変わる映像の見え方に驚いて、手を伸ばしたり動いたり、寝そべって仮想空間上の星空を眺めていました」と振り返る。本製品はトラックパッドのようなコントローラーを使用してスマートフォンのように直感的に操作できるため、児童たちはほぼ戸惑いなく使用できたという。


 「課外授業というのは、教科書だけではできない体感によって、学習の理解を深められます。しかし実際には、教科書で行った学習と実物には乖離があります。例えば水道局などで水のろ過の様子を見に行っても、タンクしか見えず、中の様子はわかりません。そこでBT-200を活用して実物の上から仮想現実の映像を重ねあわせて中の様子をアニメーションなどで示すことで、実物を目にしながら教科書で学んだ内容の理解を深められます。最近の子どもたちは、自宅で最新のIT機器に触れており、そこから幅広い情報を収集しているためデジタルに対する抵抗はないのですが、自分の身体で体感するような体験学習、課外学習に対して興味が薄れてしまう子供もいるようです。BT-200のようなウェアラブルデバイスは、そのようなバーチャルからリアルに対しての抵抗感を少なくし、より学習への理解を促せるツールとして機能すると考えています」と津田氏は語った。


 現在のところ、高島小学校以外でのBT-200の活用事例はない。高島小学校では、今後もBT-200を活用した授業を実施していく方針だ。同校では白紙単元と呼ばれる、児童が授業内容を考えてそれを実践する授業があり、その授業内での活用を検討している。エプソンは高島小学校に対する支援を継続すると同時に、他の学校現場からも要望があれば対応を進めていきたい考えだ。

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